人生二度目のピンクサロンでボコボコにされた話①

北海道旅行最終日。

俺たちは海鮮丼を食べた後、帰りの飛行機の時間まで自由行動となった。

 

服を買いに行く奴、ラーメンを食べに行く奴、ビールを飲みに行く奴、観光に行く奴・・・

各々散らばっていったが、俺は何も考えていなかった。

一先ずトイレとタバコを済まそうとパチンコ屋に立ち寄る。

 

「パチンコやる機会なんて殆ど無いし、久々にやるか」

 

現在時刻は13時。

集合時間は歩いて10分の駅に15時30分だから、まぁまぁ時間がある。

俺は『ひぐらしのなく頃に廻 219ver』へ5000円を投入した。

 

 

あっという間に5000円は溶け、1時間程経っていた。

「350回転くらい回したのになぁ」

たとえ今から当たったとしても時間迄の回収は難しい。

これ以上パチンコをするのは不毛だな・・・そう思い思考を巡らせる。

 

昨日見たバニーガールバーに行くのはどうだろうか?

マッサージに行くのもいいな・・・そう思っていると、隣のおじさんのスマホの画面がふと目に入る。

 

「すすきの 風俗・・・?」

 

そこからの動きは早かった。

『札幌駅 ピンサロ』で検索し、ヒットしたのは2件。

そのうち1件はここから歩いて7分程度の場所にあった為、吸いかけのタバコを灰皿に突っ込んで俺はパチンコ屋を後にした。

 

歩くこと10分。

コンビニでブレスケアを買い、半分ほど口に突っ込む。

周りを見渡すと、大きなビルに大大と風俗の広告が立ち並ぶ

 

ここが すすきの ・・・

 

昼間だというのに風俗の呼び込みが盛んで、その割に通行人も少なく、キャリーバックを転がす俺は変に目立ってしまっていた。

異質な空間に怖気づきそうになるが、勇気を振り絞り目的地へ向かう。

雑居ビルに入ると風俗店が立ち並ぶ、目指すは6階、レンタルガール。

エレベーターを出てすぐにその店はあった。

入ると薄暗い店内、カウンターには僅かに覗き穴があり、そこから注文をするようだった。

 

「いらっしゃいませ。どちらになさいますか?」

事前にコースや料金等は確認していたが、ちらりと目を向ける。

『30分コースでお願いします』

少し考えた素振りを見せてから俺はそう伝えた。

料金の5400円を支払ってから、少し奥の待合室に通される。

 

・・・あれ

ん?

料金とかの説明は?

というか新規1000円引きのクーポン使いたかったな。

え、てか指名とかないの?

爪とか見なくていいの?俺まぁまぁ長いんだけど・・・

大丈夫か?この店

 

その瞬間 俺は恐怖に打ちのめされた。

以前行った店とは全く勝手が違う。 まず、お茶が出てこない。

(確かピンサロは飲食店を名乗ってるから形式上飲み物が出てくる)

タバコを吸いたくなったが我慢し、なんとなしに部屋の張り紙に目をやる。

 

各コースやオプションの説明、NG行為等が書いてあった。

なるほどね、ここで学ぶ必要があるわけだ。

ひとしきり読み終わり、数分経過したが呼ばれる気配は無い。

 

怖い・・・寒い・・・押しつぶされそうだ。

そもそも前回とは状況が違い過ぎる。

前回は先輩が居たことの安心感があった。

数日前から食事、タバコ、口臭に気を使った。

清潔感の為に体の毛は処理したし、風呂に入ってすぐ入店していた。

 

今回はどうだ?

北海道、すすきのという未知の場所。仲間は誰もいない。

毛は処理していないし、さっきご飯食べたし、タバコも吸った。

 

俺、クソ客じゃね・・・?

 

その瞬間、透明な触手に脳がかき混ぜられるような感覚に陥った。

体は座っていて動いていないのに、世界が回転しているような感覚。

俺は終わってしまうのか、というか今性欲とか微塵も無い、なんで?

てかどんな人が来るんだろう?さっきホームページ見た感じだと、ボーイッシュハーフの人と、もうひとり・・・

 

「お待たせしました~」

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

来た。

執行の時が、今。

 

『ア、。 はい~』

恐怖を打ち消すように大きな声を出して立ち上がる。

大丈夫。俺は大丈夫。

あの時は20・・・22?確かそんくらい、今は27,いや、明日で28になる。

こんなんじゃダメだ、俺は・・・俺は、俺は・・・。

 

「それじゃ奥に担当の子がいますから、後はお願いします。」

 

カーテンを勢いよく開く。

そこには

 

 

 

え?

 

「よろしくお願いします」